銀髪=悪役のルーツは「ブレードランナー」?

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 文化的な記号としてのキャラクターについて、興味深い記事があった。
 日本のゲームやアニメ、マンガで、悪役はなぜ銀髪なのか?……という問いかけだ。

日本のゲームはなぜ「銀髪」の敵キャラが多いのか?デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS

 しばらく前の話だが、アメリカの友人のゲーム開発者に「なぜ、日本のゲームに出てくる敵のボスは、みんな銀髪なのか」と聞かれたことがある。「ファイナルファンタジーVII」の人気の悪役でもある「セフィロス」といったキャラクターが代表的だが、確かに多い。

 ゲーム以外でも、アニメ「攻殻機動隊」に登場する「人形使い」や、悪役的なキャラが主人公の「銀魂」といったマンガなど例はいくらでも挙がる。これは、日本のコンテンツ全般に共通する現象といってもいい。悪役と銀髪のセットが格好いいキャラという「記号」になっている。

 なるほど、言われてみれば、と思った。
 日本人は基本的に、染めていなければ黒髪だから、「異色」ということで銀髪が際だつというのもあるだろう。

 この記事を読んで、銀髪が悪役になったルーツを辿るといつ頃が最初なのかと思った。
 ふと、思い浮かんだのは映画『ブレードランナー』に出演した、ルトガー・ハウアーあたりがルーツなのでは?

「ブレードランナー」のルトガー・ハウアー

「ブレードランナー」のルトガー・ハウアー

 鮮烈な印象を残した「ブレードランナー」(1982年)は、日本のマンガやアニメにも多大な影響を与えた。サイバーパンクの体表的なSF小説『ニューロマンサー』(1986年)よりも前であり、今までになかった未来を映像的に見せたことでは先駆者だろう。

 ブレードランナー以降、未来を描く作品のベースとされ、レプリカントという言葉も代名詞として使われるようになった。サイバーパンクの幕開けを告げた作品といってもいいかもしれない。

 未来をアジアンテイストで描くというのも、ブレードランナー以降からの特徴だ。日本人作家が描けば、おのずとアジアンテイストにはなるが、日本人から見るとやや違和感のあるアジアのイメージが、逆に未来的だったという皮肉な光景だ。その違和感のあるアジアンテイストが、日本のアニメやマンガにも逆輸入された。

 「銀」は西洋でも東洋でも神聖なものの象徴であり、神聖な儀式に銀の小道具が使われる。魔除けや聖なる弾丸などにも使われた。
 「金」も「銀」も希少価値から、神聖なものとされてきたが、銀の方が魔術的・呪術的な使われ方が多いように思う。そのへんから、悪役のボス的なイメージを連想するのかもしれない。

 金髪の悪役も少なくないことから、金髪、銀髪というのは、黒髪の日本人から見るとシンボリックなキャラクターとして使いやすいともいえる。
 逆に欧米の作品では、漆黒の髪をした魔女や魔王というのが出てくるから、黒というのが悪役のイメージなのだろう。

 ときどき銀髪に染めている人を見かけるが、日本的な顔立ちだと白髪の老人にしか見えないんだよね。
 彫りが深くて美形で銀髪……というのが、銀髪の悪役の条件だともいえるね。

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