政府主導のシステム設計はうまくいくか?

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政府主導のシステム設計はうまくいくか?

ワクチン接種予約システムのトラブルが相次いでいるが、各自治体がそれぞれに異なるシステムを使っていて、統一性がないことが一因でもある。
そうしたシステムを、政府が主導して全国共通にしようというのだが……

平井大臣「ワクチン予約システムを全国共通化する可能性ある」 / ITmedia NEWS

 平井卓也デジタル改革担当相は5月11日の会見で、新型コロナワクチンの接種予約システムの不具合が全国で多発していることに言及し、今後は政府主導で全国共通のシステムを提供する可能性があると話した。

平井大臣は一連の問題について「今回の予約システムは自治体が個々にバラバラに取り組んでいる」と課題を指摘。今後整備される予定の政府の共通計算基盤「ガバメントクラウド」を活用し、「全国で共通して必要となる機能を提供する可能性がある」とした。

平井大臣は「こうした有事の対応も含めて一気通貫のサービスを提供できることもUX(ユーザー体験)の観点から重要。(9月の)デジタル庁創設後はこのようなことがないように努力していきたい」と意気込んだ。

これって死亡フラグじゃないけど、失敗フラグが立っているように思える(^_^)b

システム設計そのものは入札などで民間に投げるのだろうけど、多額の予算をつぎ込んで、しょうもないシステムになるという既視感が……。

これまでにも、年金関係、Jアラート、コンテンツ緊急電子化事業、住基カード、マイナンバーカード、COCOAなど、政府が主導したシステムでうまく機能しているものはない……という実績。
成功事例が思い浮かばない(^_^)b

かけ声だけはいいけど、ろくなものが出来上がってこないのは、仕事の発注の仕組みに原因があるように思う。
入札で落札した企業が実務の制作をするわけではなく、下請けや孫請けに仕事をさせるというのが慣例化している。下請けの実務を担当する会社は、元請けの企業よりも安い制作費で仕事を引き受けることになるので、儲けは少なくなる。加えて下請け企業は、技術的には二流や三流だったりする。一流の技術力があれば、下請けに甘んじていたりはしないものだ。

私の仕事のデザイン業界でも同じ構造がある。
大手広告代理店(電通や博報堂など)に仕事を依頼したからと、そこのデザイナーが仕事をするとは限らない。多くは外注……つまり、下請けに出される。私の勤務先に来る仕事は、そんな下請けや孫請け、あるいはひ孫請けの仕事だ。

官庁や行政の仕事をすることもあるが、間に複数の代理店や印刷所が入っている。で、末端の私はひとりでその仕事をやっているという図式。発注金額が数百万としても、実務はひとりでやっているのでかかった時間から時給換算すれば、多くても数十万。私に直接発注すれば10分の1の金額でできてしまうんだ(^_^)

システム設計でも同様の構図だろうと推察する。
末端のプログラマーは派遣社員かもしれない。数億円も投入したシステム設計でも、実費はせいぜい数百万ということもありえる。末端の現場が貧しい状況では、仕事の品質に高いものは望めない。

政府主導のシステムを作るのであれば、中間搾取する企業に発注するのではなく、実務を担当する有能な企業に直接発注することだ。
金額だけの入札ではなく、能力を見極めるためのコンペ形式で、模擬システムを制作させ、その中から優秀な企業を選ぶなどの方法を採ることを勧める。

全国共通のシステムがどんなものになるか?
デジタル庁の存在意義は、それにかかっているといえるかもしれないね。

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