宇宙初期の痕跡を観測?


またまた宇宙に関するビッグニュースが飛びこんできた。
宇宙の初期、最初の星が誕生した頃の痕跡が見つかったらしい。

宇宙最初の星を初観測 米チーム発表に科学界沸く :AFPBB News

米アリゾナ州立大学(Arizona State University)などの天文学者チームは28日、宇宙がビッグバン(Big Bang)で誕生した直後に生まれた宇宙最古の星々「ファーストスター」に由来する電波を、史上初めて検出したと発表した。この観測結果に科学界は騒然となっている。

(中略)

検出されたのは、今から136億年前、ビッグバンによる宇宙誕生からわずか1億8000万年後にすでに活動を始めていたファーストスターの痕跡で、オーストラリアの砂漠に設置されたダイニングテーブルほどの大きさの電波分光計により観測された。

(中略)

初期宇宙の温度がマイナス270度と、これまで推定されていたより2倍も低温だったとみられることが、観測データから判明したのだ。

(中略)

この極度の低温状態は、通常物質がダークマターと相互作用してエネルギーを受け渡したことで説明できる可能性があるという。

宇宙の成長モデル

宇宙の成長モデル

この手の科学記事では、翻訳する人の科学的素養によって、内容の良し悪しが左右される。残念ながら、この記事を英語ソースから書き起こした人は、科学的素養が乏しいようだ。

科学的なことは難しい言葉や内容を含んでいるから、それを記事として書くときには、わかりやすく的確な表現で要点を書く必要がある。

まず、見出しの「宇宙最初の星を初観測」というのは間違い。
正しくは、「最初の星が生まれた頃の痕跡」である。
「ファーストスター」そのものが観測されたのではないので、この見出しは誤解を招く。

また、「初期宇宙の温度がマイナス270度と、これまで推定されていたより2倍も低温」というのは、日本語としておかしい。
「2倍も低温」などという表現はしない。
たとえば、マイナス10度と、マイナス20度を比べて、「今朝の気温は、昨日に比べて2倍低いです」なんていうかい?
温度は質量や距離のように、量的な比較が可能なものではなく、摂氏であれば氷点を0度とした便宜的な目盛りでしかない。温度の数字が倍になったからと、温度のエネルギー量などが倍になるわけではない。

気になったのは、「通常物質がダークマターと相互作用してエネルギーを受け渡したこと」という部分。前エントリにも書いたが、ダークマターは通常物質とは相互作用しないというのが、現在の通説。そのため見えない物質になっている。それが通常物質と相互作用するのであれば、直接観測も可能になる。あるいはエネルギーを吸収するだけで、放射はしないということか?
むむ……謎。

ちょっと日本語記事が頼りないので、ソース元を探してみた。
以下の記事が詳しい。
Within 180 million years of the Big Bang, stars were born

この記事から、結論部分を翻訳。

予期しない結果

この観測の結果は、最初の星が形成された頃の、初期の星の最も基本的な性質と理論を推察できます。

MITのHaystack Observatoryの共著者Rogersは、「この時期に起こったことは、最初の星からの放射線の一部が水素を含み、水素が背景放射線を吸収し始めているため、特定の電波周波数に痕跡が見られます。これは、星が形成され始めている最初の実際の信号であり、周りの環境に影響を与えています。

チームはもともと初期宇宙の時代を観測することに挑戦していましたが、2015年には探索を延長することに決めました。 「より古い時代の観測に切り替えるとすぐに、私たちはそれが本当のサインであると確信するようになりました」とロジャーズは言います。ロジャース氏は、「この信号のディップ(凹み)は約78メガヘルツで最も強く、ビッグバン後の約1億8000万年に相当する」と語ります。 「水素ガス自体からの信号を直接検出するという点では、これが最も古いものです」

この研究は、初期宇宙のガスが予想よりも低いかもしれないことを明らかにしました(予想温度の半分以下)。これは、天体物理学者の理論のいずれかが有意義なものを見落としているか、または非標準物理学の最初の証拠であるかもしれないことを示唆しています。具体的には、バリオン(正常物質)宇宙は、もともとテルアビブ大学のRennan Barkanaによって提案された概念です。

Bowman氏は、「Barkanaのアイデアが確認されれば、宇宙の85%を占める神秘的な暗黒物質について、新しいものと基本的なものから、標準モデルを超えた物理学を最初に垣間見ることができます。

この研究の次のステップは、チームの検出を再確認し、計測器の性能を向上させ、初期の星の特性についてより多くを知ることです。ボイマン氏は、「検出を検証するために過去2年間に非常に努力しましたが、別のグループで独立して確認することは、科学的プロセスの重要な部分です」と述べています。

ボーマンはまた、HERA(Hydrogen Epoch of Reionization Array)やOwens Valley Long Wavelength Array(OVRO-LWA)のような新しい電波望遠鏡の導入を加速させたいと考えています。

ボイマン氏は、「この信号が存在することを知ったので、信号をもっと深く掘り起こすことができる新しい電波望遠鏡をオンラインで迅速に提供する必要がある」と語っています。

いずれにしても、他の観測機関で追試が必要なようである。
もっと詳しい情報は、ナショジオに出てくると思うので、続報を待ちたい。

 

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