「朝食は食べた方がいい」
「朝食は食べなくてもいい」
「朝食を抜くと太る」
「朝食を抜くと痩せる」
……等々、正反対の主張が、健康やダイエットを巡る話題にときに出てくる。
科学的なようで科学的でない根拠に基づいている、この話題についての新たな実験による一説。

「朝食は体にいい」は食品会社が作り出した迷信? – ITmedia ニュース

 まず、人々を2つのグループに分け、片方は朝食抜き、対照群の人々には午前11時までに700kcal以上の食事をとってもらった。その結果、朝食抜きのグループが昼食をがつがつ食べるかといえばそんなとはなく、やや摂取カロリーが多い傾向はあったものの、その差は700kcalに満たなかったという。つまり、1日の摂取カロリーは朝食抜きの方が少なくなるということだ。

また、朝食をとったグループの新陳代謝が上がっているということもなかった。

さらに、摂食行動をうながす空腹ホルモンの量では、むしろ朝食をとったグループは昼食後も低下しなかった。つまり、朝も昼もたっぷり食べたのに、彼らはまだ食べたがることになる。

そもそも、1日3食というのは、慣習的、一部は宗教的な理由から「常識」にされているにすぎない。
生物学的に1日3食が必須になっているわけではない。
100万年あまりの現生人類の歴史上、1日3食を食べられるようになったのは比較的最近の話なのだ。かつて、狩猟採取生活をしていた時代は、いつも食べものがあるわけではなく、1日1食ありつければよかった。食料がないときのために、人の体はエネルギーを脂肪として蓄える機能を備えている。空腹時は、自分の脂肪を分解して補っていた。
しかし、食べものが十分にある現在。余分に摂取した食べものを脂肪として蓄える機能が、肥満の問題を生むことになっている。

朝食が体にいいかどうかというのは、ナンセンスな問いだ。
根本的に重要なのは、1日の食事量、つまり、摂取カロリーの総量だろう。
700kcalを3食摂れば、合計2100kcal。
700kcalを2食であれば、1400kcal。
1食であれば700kcal。
摂取カロリーは肥満やダイエットと結びつけられるが、朝食を抜くと太るのではなく、総量が消費カロリーを上回れば余分なカロリーが脂肪になるだけ。
単純な話なのだ。

生命を維持するための最小限のエネルギーを基礎代謝というが、

基礎代謝 – Wikipedia

一般成人で、一日に女性で約1,200、男性で約1,500キロカロリー(kcal)とされている。

これは年齢・性別・体格によって異なるので、自分の基礎代謝を計算したいのなら以下のサイトへ。

基礎代謝量 – 高精度計算サイト

この基礎代謝の理論は欧米人が元になっているようなので、日本人には多めらしい。それにしても、生物学的な意味では、かなり豊かな生活環境が想定されている。
消費カロリーは推定値であり、実測値ではない。
基礎代謝の計算に用いられる「ハリス・ベネディクト方程式」は、1991年に考案されたらしい。

資料→「女子大学生の安静時代謝量に及ぼす 身体組成および身体活動の影響

医学や人体に関する知識は、年々更新されているので、25年前の理論が今でも通用するのかどうかは疑問に感じる。消費カロリーを実測することは困難だとされているので、推定の域を出ない。
食品のカロリー計算にしても、ある食品についてのカロリーは推定でしかなく、誤差は±20%まで許容されているので、けっこうな誤差がある。
食品カロリーを実測するには、実際に燃焼させて熱量を計る方法と、近赤外線光を照射して計る方法の2つがある。

▼燃焼法
ボンブカロリメーターとは – コトバンク

ボンブカロリメーター
ボンブ熱量計,爆発熱量計ともいう.燃焼熱を求める試料を厚いステンレスの筒に入れ,密封して気相を高圧の酸素とし,微弱な電流をニクロム線などに通して発火させ,発する熱量を筒を取り囲む一定量の水に伝えて,その水の温度の上昇から発熱量を求める装置.

▼近赤外線光法
カロリーアンサー.com:食品カロリー自動測定器|しくみ・原理・構成

近赤外線光を食品に照射し、糖・脂肪・たんぱく質に吸収された光と反射された光をコンピューターで測定し、カロリーに演算処理する

一般的に普及している食品の推定カロリー値と、実測したカロリー値では、かなり差があるらしく、それが許容誤差±20%の根拠になっているようだ。

▼食品カロリー表の一例
食品のカロリーの一覧表 | 簡単!栄養andカロリー計算

たとえば、カップ麺といっても種類はいろいろあるし、材料や成分も違うから、100gあたり448kcalのひとくくりにするのは乱暴だ。代表的な日清のカップヌードルでは、メーカー発表の標準栄養成分表が、353kcalとなっている。誤差20%を加味すると、MAXで423.6kcalはあることになる。実際はどうなのかを検証するには、前述の実測をしてみないとわからない。
表示されているカロリーが正しいかどうかは、メーカーを信用するしかない。とはいえ、自動車の燃費不正問題などもあったように、カロリー表示の不正がないとはいえない。カロリーに対して敏感になっている昨今なので、許容値の下限の少ない数値を表示している場合もありえるだろう。

話を戻して。
朝食を食べた方がいいのは、成長期の子供であることは間違いない。
しかし、成人した大人は、それほど多くの食事量は必要としない。
1日に必要とされる摂取カロリーが設定されているのだが、

1日の摂取カロリーを計算!平均は1,800~2,200kcal|メディチェ

例えば、日本人の平均身長である男性167.3cmと女性154.2cmをベースに考えてみましょう。この平均身長に対する標準体重を求めると、男性は61.6kg、女性は52.3kgです。

次にこの標準体重に「座っている時間が長い」を当てはめると、1kgあたりの25~30kcalをかけることになります。その結果、男性1,539~1,847kcal、女性1,307~1,569kcalと計算できます。

ここで出てきた1日に必要な摂取カロリーの中央値を基準値にするのであれば、男性は1,693kcal、女性は1,438kcalとなり、これが日本人に最低限必要な一般的な摂取カロリーとなります。

この設定値には、算出方法により幅があり、身長が高く体重が重いほど数値は高くなる。
身長が高いと体の体積が増え、体温を維持したり体を動かすエネルギーも多くなるから、必要摂取カロリーが増えるのはわかる。
しかし、体重が重い場合は、それが筋肉量の違いなのか、肥満による脂肪の多さによるものかによって、条件は異なる。体内の脂肪が多い場合、むしろ脂肪の消費をうながすため、最低摂取カロリーは少なくてもいいのではないかと思ったりもする。
摂取カロリーの計算方法では、体重が増えると数値も上がるので、それでは過剰な摂取カロリーになっているのではないか?……という疑問に、解答が見当たらない。

1,693kcalとすると、3で割って、約564kcalが1食分の摂取カロリーということになる。
となると、冒頭の記事の実験で、700kcalは少々多めともいえる。3食700kcalを摂ると、2100kcalとなり、食べすぎだ(笑)。この実験は体の大きな欧米人が対象ではあるが、朝食を抜いても1日の総量は少なくなるのだから、食べないで済ませられるなら食べなくてもいいということになる。

過去記事にも書いたが、私は1日1食が基本(笑)。
→参照「空腹に慣れる
摂取カロリーは、食品カロリー推定値から試算すると、多くても1000kcalだが十分に足りている。1,693kcalも必要ないというのが実感。
「水を飲むだけでも太る」とかいう人がいるが、それを実証するために、1カ月間、水を飲むだけで太って見せてくれ(笑)。それは物理法則に反しているから。
太るかどうかは、摂取カロリー(入力)と消費カロリー(出力)の差である。入力が多ければ余った分が脂肪になる。逆に入力がゼロであれば、体内の脂肪を消費して体重は減る。水だけで太るとしたら、それは無から有を生み出していることになってしまう。
大食いタレントとして、大量に食べても太らない人がいるが、あれは消化器官の吸収効率が悪いか、消費カロリーが多い効率のいい代謝機能を持っているかのどちらかだ。前者だとすると、将来的に内臓疾患になる恐れがあり好ましいことではないと思う。

とまぁ、朝食を抜くのがいいかどうかよりも、1日の総量をコントロールすることだよ。

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