映画『ニューロマンサー』は期待できるか?


 映画化の噂が出てきては、いつしか消滅する名作のSF小説は少なくないが、W・ギブスンの「ニューロマンサー」もそのひとつ。
 その映画化が、やっと本格的になったらしい。

これは傑作の予感…映画『ニューロマンサー』コンセプトアートが公開! – シネマトゥデイ

 [シネマトゥデイ映画ニュース] ウィリアム・ギブソンの同名SF小説を原作にした映画『ニューロマンサー(原題) / Neuromancer』のコンセプトアートが公開され、そのクオリティーの高さが話題になっている。

(中略)

 SF小説を原作にした映画から多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、フィリップ・K・ディック原作、リドリー・スコット監督の映画『ブレードランナー』。確かに同作は後の作品に多くの影響を与えたが、発表からは早30年の時が過ぎている。そろそろ、次なる『ブレードランナー』が出てきてもいい時期だろう。 1984年に発表され、その1作でサイバーパンクというジャンルを作り出したといっても過言ではない「ニューロマンサー」の映画化作品は、21世紀の『ブレードランナー』になる可能性を秘めた作品。そのことが今回のコンセプトアートからはひしひしと伝わってくる。

 いやまぁ、公開されれば観に行くと思うよ(^_^)
 サイバーパンクにはどっぷり浸かっていた世代だからね。
 でも、期待値は……あまり高くない。
 というのも、21世紀の『ブレードランナー』となるような条件が整っていない気がする。
 監督は決まっているが、配役は決まっていないし、未定の要素が多い。
 サイバーパンク的な作品としては、「マトリックス」が先にあるので、そのイメージを超えるのは難しい。
 原作の「ニューロマンサー」が書かれたのは、上記の記事にあるように1984年で、当時はまだパソコンはMS-DOSの時代だし、一般的なインターネットもなかった時代。作者のギブスンはタイプライターで作品を書いていた。
 じつのところ、作品中の電脳世界は「ジャック・イン」という象徴的な言葉が表すように、じつにアナログ的な電脳世界なんだ。
 日本語に翻訳された「ニューロマンサー」は、故 黒丸 尚氏の名訳のお陰で、おそらく原書の英語版以上にサイバーパンクしていた。
 「ニューロマンサー」に続いたサイバーパンクの作品は、デジタル時代となった現在から見ると、かなりアナログな世界で、Science FictionとFantasyが融合したような作品世界のものが多かった。作家の想像力で「未来」を見せてくれたわけだが、現実になったネット世界とデジタルなテクノロジーとは似て非なるものだ。
 のちに「スチームパンク」というジャンルも登場したが、「マトリックス」の世界と比較すれば、「ニューロマンサー」の世界観はスチームパンクに近い。まぁ、蒸気機関じゃないから「ワイヤードパンク」とでも呼びたいところだ。「ニューロマンサー」の世界は、ワイヤレスではなく、有線の世界だという意味で。

 注目は集めるだろうが、「ブレードランナー」や「マトリックス」に比肩するような作品にするのは至難の業だろう。
 せめて「トランスフォーマー」レベルは超えて欲しいけどね。

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
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