電子ブック関連の記事。
 ここ最近の動向を追っているが、ポイントは以下の引用部分。

eBook Forecast:この夏、電子書籍市場は燃えていたか? (1/2) – 電子書籍情報が満載! eBook USER

 出版社としてもスキャン代行サービスに対し何のアクションも取らないのは、経営判断的に問題ではないかと株主などから言われかねないので、起こるべくして起こった今回の質問状送付ですが、権利者への「正しい還元の仕組み」ができるまでは許諾することはないという内容は、質問状の形を採りながらかなり高圧的な印象です。

 今回の動き以前にも、日本書籍出版協会が同様の措置を検討していると過去に報道されており、スキャン代行業者の中には、利益還元の提案をしているところもありますが、それらは無視されているようです。結局のところ、自分たちに都合の良いモデルでないと認めたくはないということでしょう。「出版社に著作隣接権を――流対協が要望書提出」などもそうした意識が働いているように感じます。

 筆者の経験からいうと、出版業界はとかく「内と外」を分けたがる業界です。外部(と見なす)スキャン代行業者からの声に耳を傾けるようになるのか、それとも自らの論理を突き通すのか。後者を選択してガラパゴス化しないでくれるとよいのですが……。

 間違いなく「後者」だね(^_^)

 スキャン代行業になぜ需要があるかといえば、出版社側からの電子ブック化が遅れているからだ。自分たちの対応の遅さ、市場のニーズを読めない甘さ、電子ブックの市場を牽引しようという強いリーダーシップのなさを棚に上げている。
 アメリカでのフェアユースの考え方の方が、読者(ユーザー)としては納得がいく。自分で自炊するのはOKだが、業者に依頼するとダメ……というのは、どこで境界線を引くかの問題ではあるが、できあがった自炊電子ブックだけ見ても、どちらなのか区別はつかない。
 出版社がいち早く電子ブック化を進めればいいのだが、それが追いつかないのなら、代行業者を「公認」すればいいのではないか? 公認して手数料をピンハネすれば、出版社も文句はないだろう(^_^)。
 権利者に利益還元……というのも、古本の売買では還元はされない。還元しようという動きもあるようだが、制度化はされていないようだ。オークションで個人が売買する場合も多々あるが、その場合には還元しようがない。個人と業者の線引きも曖昧な気がする。
 いずれにしても、過渡期の問題だ。
 電子ブックが一般化すれば、わざわざスキャンする必要はなくなる。

 「出版業界はとかく「内と外」を分けたがる業界」ということに関しては、もうひとつ「上と下の関係が厳しい」というのもある。
 上とは大元である出版社で、下とは出版社から仕事を請け負って編集や制作をする下請けのことだ。下請けも、直の下請けから、孫請け、ひ孫請け……と上下構造がある。
 外注に出すのは、出版社内部に人材が足りない場合や、コストを下げるために下請けに出す。下請けに丸投げということも少なくない。下請けは安く請け負うが、孫請けはさらに中間マージンを取られて安く請け負う。
 仮に100万円の制作費だとすると、下請けに80万で出し、下請けが孫請けに60万で出す……というような感じだ。下部に行くほど安くなっていく。仕事を右から左に回すだけで20万の利益だ。こんなうまい商売はない。
 そういう体質が、出版業界にはある。
 電子ブックはそのうま味を希釈してしまうのだ。作家が電子ブックを直販できるような市場になったら、既得権益を持つ側としては大きな損失だ。
 だが、目先の既得権益に固執していたら、電子ブックの主導権は取れなくなる。結果、AppleやAmazonやGoogleに迎合するしかなくなってしまう。そういう危機感が乏しい気がする。

 電子ブックリーダーに関しては、専用のリーダーはいずれ廃れる。
 iPadやkindle Tabletで間に合うなら、ほかのリーダーはいらない。というより、ひとつのTabletで電子ブックが読めて、音楽も聴けて、映画を見られて、WEBも使えるなら、その方がいい。カバンにひとつのTablet、それがベストな選択だろう。
 ついでに、電子ブックを始めとした商品を買うストアも1つの方がいい。
 そういう意味では、Amazonは有利な立場にいる。
 現状、フォーマットやプラットフォーム、ストアが乱立しているが、1~2年のうちに淘汰されて収斂していくだろう。2年以上経っても利益が出ずに、機器やストアを維持するのは、投資に対して見合わないと思う。
 どこが生き残るかのサバイバルだが、国内勢力は後追いで勝算が乏しい。Androidのように、無料で提供するといった大胆な戦略ができるところはなさそうだしね。

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