【レビュー】映画:スーパー8

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 遅ればせながら、『スーパー8』を観てきた。
 予告編と評判の良さで見に行く気になったのだが……

SUPER 8 公式サイト

SF映画というよりホラー映画。
70年~80年代に郷愁のある人には、懐かしさがいろいろ。
あちこちでビックリさせられた。
でも、最後には笑える。

 ……とまぁ、簡潔に感想をいうと、そんなところか。
 あちこちのレビュー等で書かれていることではあるが、ETとかスタンドバイミーとか、その他もろもろのイメージが重なる映画だ。
 アイデアとして目新しいものはない。
 むしろ、過去の似たイメージの映画へのオマージュなのだろう。

 イメージソングにもなっている「マイ・シャローナ」は、1979年のヒット曲だが、名曲であると同時に大ヒットの一発屋だった(^^)。
 この曲を持ってくるあたり、狙っている世代が私たち世代なのかな?……と思ってしまった。「マイ・シャローナ」が流れてくると、ジャジャジャ、ジャンジャン、ジャンジャン、ジャンジャン……と独特なギターフレーズに、「Wooo~、My sharona~」と口ずさんでいる自分がいた。
 音楽というのは、頭の中の時間を巻き戻す効果がある。
 あのとき、あんなことをしていた年頃に、この曲が流れていた……と。
 過去の記憶と、過去の自分が重なって、フラッシュバックする。

 この映画のタイトルにもなっているスーパー8は、ビデオなんてなかった時代の、映像を撮るための8mmフィルムのことだ。厳密に言うと、79年当時でもビデオカメラはあった。ただし、民生用は少なく、放送局が使うような業務用だ。一般人が映像を残すには、8mmフィルムが唯一の選択肢だった。
 うちの親父はカメラ好きで、8mmカメラでよく撮っていた。実家には、私が幼かった時代の8mmフィルムが残っている。それも白黒の8mmフィルムだ。1960年代のことなので、その時代の映像記録が残っているというのは、普通はあまりないことだろう。
 ちなみに、私は昔、写真のラボの会社に勤めていたのだが、最初に就いた部署は8mmを現像する仕事だった。なので、少なからず8mmフィルムには思い入れがある。

 ともあれ、今の若い世代には、この曲に対する思い入れとか、8mmフィルムに対する懐かしさはないだろうからね。
 なんでケータイがないの? なんでデジカメで撮らないの? 8mmってなに? SNSとかTwitterで流せばいいのに……と、いわれそうだ。
 そんなものがなかった時代なんだよ(^^)
 すべてがアナログの時代。
 昔はよかったなんてことはいいたくないが、アナログにはアナログの良さがあったことは事実なのだ。

 ストーリー自体に、意外性はあまりない。
 だいたい予想通りの展開になる。
 だが、列車がクラッシュするシーンはド迫力だったし、いきなりなにかが飛び出してきてビックリさせられるという、ホラー的な手法が随所にある。
 怖くはないが、ビックリする。
 少年と少女の淡い恋の展開もあるが、やや印象が乏しいのが残念。
 というのも、謎解きの方に傾いていくので、恋の行方についてはやや物足りなかった。
 まぁ、一言で言えば……

凶悪なET……かな(^^)

 この作品、一度観ただけでは、その「味」というのはほろ苦いだけで、味わい深いところまでは行かない気がする。
 展開や画面チェンジは速いのでスピード感はあるのだが、細かいところを見逃しているような気がする。何度か観ると、「ああ、こんなところに、あんなものがあった」と気がつくかもしれない。おそらく、そういうこだわりが随所にあるだろうからだ。

とりあえず、観て損はない。

 エンドロールが流れ始めると、早くも席を立って劇場から出て行く人がいつもいるのだが、この映画は最後まで観た方がよい。
 エンドロールと一緒に、劇中で少年たちが作っていた自主制作の映画の完成版が流れるからだ。
 これが「笑える」
 これを見ずして、この映画を見たとはいえないだろう。

 新鮮さは乏しいが、懐かしさといろんな映画へのオマージュが詰まった作品だ。

 「マママ、マイシャローナ♪♪♪」ということで、懐かしい映像を。新しいものもあるが、古い方の映像。

 この映画のお陰で、リバイバルするんだろうなー(^^)

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