電子書籍関連のニュースを続けて。
 これ↓……無理だと思う(^_^;

「日本の出版文化守りたい」 DNPと凸版の電子書籍業界団体にドコモ、東芝など参加 – ITmedia News

 ビジネスモデルは、「日本独自の文化や商習慣を踏まえた水平分業型」(副会長で凸版の大湊満常務)で検討。米AppleやAmazon.comのように、書籍データの配信・流通から端末販売まで1社で手掛ける垂直統合型とは異なり、作家や出版社、印刷、取次、書店、メーカーなどさまざまな事業者が参加する、水平分業型モデルの構築を目指す。

(中略)

 電子書籍ビジネスではAppleやAmazon.comなど海外勢が先行しているが、「出版・印刷業界でこれ(AppleやAmazonのモデル)が中心となると、組版の文化など、日本の特殊性が失われる可能性があるという危ぐがある。海外の会社を排斥するのではなく、日本の文化を守ることが目的」と、高波会長は協議会の狙いを話す。

 「水平分業型モデル」ねぇ……
 たぶん、これは成立しないよ。
 各社それぞれの思惑が働くから、参加各社がみんな納得するモデルは難しい。
 というか、まとまらないだろう。
 こういう異業種が寄り集まる形の水平分業型モデルで、成功している例があるだろうか?
 同種の会社で分業するモデルは、コンピュータ関連や自動車関連で見られるが、これはコスト削減や技術の分散の必然から生じたものだろう。ただし、水平というような対等な関係というより、親会社と下請けのような関係だ。
 出版の水平分業型モデルに関わった会社が、それぞれに取り分をよこせ……ということになれば、結局コスト高になってしまうのではないか?
 出版は、基本的には著者が作品なり原稿なりを書くものだ。
 作家の存在が不可欠。
 作家は原稿料や印税で食っている。
 紙の出版では、その印税が10%前後なのが現状。9割は出版に関わる会社に回されている。
 それをAppleは印税で70%を配分するという。
 作家にしてみれば、これこそが著作に対する妥当な報酬だと見えると思う。
 水平分業型モデルになれば、70%の印税は無理だろう。
 となると、作家にとって、Appleと水平分業型モデルとどっちが魅力的かは明確だ。
 水平分業型モデルでの電子書籍の超えるべき壁は、高い。

 また、「日本の出版文化守る」というのは違うだろう。
 守りたいのは既得権益の間違いでは?
 本当に守りたいのなら、DTPすら拒絶して、写植・版下の手作業時代の出版まで戻るべき。DTPソフトは海外製のものをローカライズしたものだからだ。
 DTP化で写植や製版の職人たちを切り捨ててきたのに、なにを今さらという気がする。
 「組版の文化」だって?
 組版のどこが文化なのだろう?
 たしかに写植の時代には、美しく組むためのノウハウはデザイナーの腕の見せ所ではあった。だが、DTPになって、その腕はソフトが代替している。基本を作っておけば、新人であっても同等のものは簡単に作れるようになったのだ。
 日本の特殊性などというのを聞くと、「クジラを食べるのは日本の文化だ」といってるのと同じように感じてしまう。

 読者が読みたいのは「作品」や「記事」であって、体裁としての本ではない。
 面白い作品が読みたい。感動する作品を読みたい。
 それにつきる。
 その媒体が紙の本なのか、電子書籍なのかは、たいした問題ではないのだ。

 本の形のことばかり問題にしているが、根本的な問題は「作品」を生み出す「」である。
 作家をどう発掘して育成していくか。
 こちらの方が重要なのを忘れている。
 新人賞を取っても、一発屋で消えていく人は少なくない。専業作家として食えない人が多いからだ。
 食えない理由のひとつは、印税が10%だからだ。
 たとえば、1500円のハードカバーを5000部発行したとしても、作家には75万円しか入ってこない。新人のデビュー作としては、こんなものだ。
 年に何冊も出版できればいいが、新人はせいぜい年に1冊。
 これでは食えない。
 これが印税70%だと、525万円となり、これなら食えるのだ。
 まぁ、実際には電子書籍は価格が低くなるだろうから、紙の本と同じ値段にはならないが、半額だとしてもまだなんとか食える。
 そこんとこをもっと考えて欲しいものだ。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア