日本語版iBooksの可能性は?」で書いたことに関連した記事があった。

【電子本の衝撃】揺れる出版界(中):出版社を通さない“作家直販” 契約は、編集はどうなる – ITmedia News

 ベストセラーコミック「海猿」「ブラックジャックによろしく」などの作品で知られる漫画家の佐藤秀峰さんは昨年9月、自身のウェブサイトで作品の有料配信を始めた。佐藤さんのサイトによると、開始初日には10万円ほどの売り上げがあったという。

(中略)

作家個人が出版社を介さず、作品を読者に直接インターネット上で有料配信するのは異例の取り組み。

しかし、電子書籍をめぐる環境が整備されていけば、プロやアマを問わず、著作者の新たな発表の場の確保につながる可能性はある。
(中略)

不安の種は、欧米と比べ著者と出版社の契約が明確ではない点にある。業界団体の日本書籍出版協会は出版契約書のひな型を作成しているが、慣例として今も「口約束」で済ますケースもあるという。電子書籍化や販売に対する具体的な取り決めが交わされていることは多くない。利益配分や著作権上のトラブルが起こる可能性もあるからだ。

出版社は作家が作品を発表し、販売する窓口として、出版にかかる費用や流通手段を提供してきた。作家を発掘し、育てる、というサポート面も担ってきた。

だが、その枠組みや役割が変わりつつある。
かつて、作家と編集者が二人三脚でヒット作を生み出したりもしたが、それも過去の伝説になりつつある。

編集者がダイアの原石である作家を発掘するのではなく、すでに同人誌やネットで一定のファンを獲得した作家をスカウトすることが多くなった。レベル1から育てるのではなく、レベル7~8くらいの能力を身につけた作家をメジャーな世界に引き入れるような感じだ。

編集者の苦労は減るのだろう。ほぼ熟達した作家を、メジャー市場で売り出すためのプロデュースをするだけでいいわけだ。
すべてがそうではないが、そういう例が目立つ。

個人の作家でも、メジャー市場で作品を売るための手段と環境があれば、出版社は不要になる。
電子ブックはそれを技術的に可能にする。
現状でも、その方法はある……というのが、前述の記事だ。

ただ、市場として成熟はしていないので、無名の新人でも売れるわけではない。
それでも有料メルマガなどで、月に数万~数十万くらいの売上げを上げることは可能だ。

一例として、有料メルマガサイトの「まぐまぐ・有料版(恋愛・結婚カテゴリ)」を見ればわかるが、そこのベスト10に入っているメルマガは、出版社経由のプロ作家ではない。
ここの第1位と第10位では、売上げが桁違い(実数を知っているが内緒(^_^))ではあるが、専業プロでなくても、そこそこ稼げるのだ。ちなみに、売れているカテゴリは、恋愛系、経済系、教育系だ。

まぐまぐは著作内容に対して、口出しはしないし、出版社が作家と関わるような関係ではない。
著作を販売する場を提供しているだけだ。

どんな著作が売れるか、どうすれば売上げを伸ばせるか、読者は何を求めているか……といったことは、著作者自身が考えることである。
これは従来は出版社が担っていた役割だ。
それを中抜きして、作家自らがやればいいだけのこと。

まぐまぐ・有料版の著作者の取り分は、価格の6割である。少ない部数でも、そこそこお金になるのは、この印税率にある。

出版社は来るべき電子ブック時代に、その存在意義が問われていると思う。

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