派遣村が年末の恒例行事になったのか……
 困っている人を助けるのは、基本的には良いことだが、助け方を間違うとかえって悪循環になる場合もある。
 特に、経済的な支援で現金を渡すと、なにもしないでもらうことに依存するようになってしまう。これでは物乞いと同等だ。
 そんな、記事から。

「“ごね得”許した「派遣村の品格」 費用は6千万円大幅超の見込み」:イザ!

 「不平を言えば融通が利く。みんな“ごね得”だと気付いている」。4日閉所した東京都の「公設派遣村」を出た男性(34)は“村”での生活をこう皮肉った。派遣村では開所以来、行政側と入所者の衝突が絶え間なく続いた。職員の口のきき方への不満に始まり、昼食代の現金支給を求める入所者…。当初、目的だったはずの就職相談は不調に終わり、職員は最後まで入所者への対応に右往左往した。

 貧しくなると、考え方まで貧しくなるから、モラルとかプライドとか恥というのは薄れてしまう。
 目先のことしか見えないから、将来のことに対する思考ができなくなってしまうのだ。
 貧困の一番の問題は、考え方が極端に狭くなってしまうことなのだ。

 私が、かつて低賃金のアニメーターをしていたころ、年収が100万円未満だったから、経験的にわかる。その日、その時、腹が減って食べることにしか考えられなくなる。世間や社会が見えなくなる。自分の目標とか生きがいとか、将来のことは遠い世界になってしまう。
 そこから抜け出すには、相当に強い意志の力、屈辱をバネにする力が必要になる。
 自分の置かれた立場に不感症になったら、もうおしまいだ。抜け出そうとか、這い上がろうとか、そういう気すら起こらなくなる。
 大部分の就労意欲のない人たちは、もはや最悪の状態に陥っている。
 助けるつもりで現金を渡すと、本来の目的ではなく、目の前の欲求を満たすために使ってしまう。
 それが、以下の記事。

派遣村 就活費で酒・たばこ 都、悪質入所者に返金要求へ(産経新聞) – Yahoo!ニュース

 年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で、一部の入所者が就労活動のため都から支給された現金を酒代やたばこ代に使い、施設内で禁止された飲酒などの問題行動を取っていたことが6日、分かった。都はすでに泥酔状態となった男性1人を退所処分にしたほか、悪質な入所者には退所時に支給額と領収書の差額の返金を求める方針。

(中略)

 ところが、多くの入所者が活動費を受け取った直後に近くの小売店で酒やたばこを購入していたことが判明。店員は「朝から1万円札を握りしめた入所者が大勢並んで買い物に来ている。たばこがかなり売れ、酒やスポーツ紙などを購入する人も少なくない」と証言した。60代の入所者の男性は「都に提出する領収書がいらない交通費に出費したことにして帳尻を合わせたい」と話した。

 貧困とは、人間性も貧困にする。
 その典型だろう。
 そもそも現金を渡したのが間違いだ。交通費として支給するのなら、Suicaを渡せばよかった。Suicaなら何に使ったかの記録も残る。そのくらいの知恵が出なかった行政も、対応が甘い。

 無条件に現金を渡すのも、発想が甘い。
 街の清掃でもしてもらって、その報酬として現金を支給するくらいのことはしてもいい。
 「働かざる者食うべからず」である。
 ただで、食べもの、寝るところ、現金がもらえるとなれば、ますます就労意欲はなくなる。
 落ちるところまで落ちた人たちに、モラルや向上心を求めるのは無理。彼らは、それらを捨てたか忘れた人たちなのだから。

 格差社会……といわれるようになって久しいが、貧困が問題になってはいても、まだ日本はそれほどひどくない。

 なぜなら、日本には、まだストリート・チルドレン(子どもの物乞い)がいない。

 世界の多くの国に、ストリート・チルドレンはいる。
 日本は、まだそこまで落ちてはないということだ。

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