【レビュー】映画『2012』


エメリッヒ監督の最新作『2012
20日、金曜日の夜に観てきた。
正式公開は21日からだったが、前夜祭ということで一足先に。

崩壊シーンの特撮は迫力満点だが……
ストーリーは盛り上がりに欠ける(^^;)

以下、ネタバレ満載なので、観てない人はご注意ください。

映画館は、いつものように豊島園のユナイテッドシネマ。
最近、映画を観るのはここだ。
家から近いし、映画館も環境的に良いからだ。ただ、まだ3D対応にはなっていないので、話題の3D映画はまだ観る機会がない。

前夜祭ということもあってか、お客は少なく、ガラガラ。
劇場に入るときにスクラッチカードを渡された。なんでも、「アバター」の鑑賞券が当たるらしい。
が、はずれ。
「アバター」も観に行く予定ではあるが。

エメリッヒ監督といえば「インディペンデンス・デイ」、通称ID4
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代表作となったID4だが、そのほかには、
『スターゲイト』 (1994年)
『GODZILLA』 (1998年)
『デイ・アフター・トゥモロー』 (2004年)
『紀元前1万年』 (2008年)

などがあるが、ID4以降はいまいちパッとしない。
『スターゲイト』はインパクトのある映画で、のちにTVシリーズ化された。スターゲイトは、映画版よりもTV版の方が面白くなった。映画の時間で終わらせるよりも、長いシリーズ向きの世界だったのだと思う。

『GODZILLA』は、日本のゴジラからかけ離れすぎていて評価は散々だったが、あれはあれでアリだとは思ったけどね。
ともあれ、ID4のヒットと印象が強すぎて、ほかの作品がかすんでしまう。
それを超える作品を作るのは、容易ではないのだろう。

 『2012』もID4を超えられなかった。

特撮は素晴らしい。
昨今、特撮といえばCGである。CGのクオリティは高く、リアルさ満点だ。
ビルの崩壊シーンには息を呑む。
ビルだけではなく、都市そのもの、地殻そのものが崩壊するのだから、桁違いの崩壊シーンである。

崩壊する都市から主人公たちが脱出するシーンは、ご都合主義満点の「そんなのアリかよ?」という、間一髪の離れ業。
無茶というか、無理がいっぱいだが、まぁ、それはお約束みたいなものだ。
手に汗握る……とはいかず、むしろ笑ってしまう。
映像のリアルさに比べて、ドラマが陳腐だからだ。

ディズニーのアトラクションのように、主人公たちは難関をあっけなくクリアしてしまうことがわかりきっているから、緊張感というのはない。
むしろ、あっけなく死んでしまう脇役の人たちが気の毒だった。

ID4でも一部で話題になったが、物語中で死んでしまうのは、悪事を働いてきた者、性格が悪い者、不道徳を働いた者、価値観がマイノリティーの者……と、善良ではないと見なされた人たちなのだ。

『2012』は、ディザスター映画ということになっているが、ベースにあるのは「ノアの方舟」……つまり、聖書的な隠喩を含んでいる。
物語中で死んでいく人たちは、ふるいにかけられ、善悪を選別されているのだ。

ただし、善人も死んでいく。
大統領しかり、最初に世界の危機を発見した研究者しかり。そのへんは、神はときに無慈悲、ということをいいたいのかもしれない。

ジョン・キューザックが演じる主人公のジャクソンは、「ノア」ではなく、生きのびるために右往左往するだけの人物だ。彼が世界を救うのではない。
間接的に彼の書いた著作の中の一節が、キーワードとして登場するものの、彼自身は可能な限りの手段を使って、自分だけが生きのびようとする。逃避行の同行者を助けようとはするものの、彼の視野は狭く、滅びゆく世界に対してはさしたる感傷はないようだ。彼にとっては、家族と身近ものだけがすべてなのだろう。
それを批判するつもりはない。赤の他人は、所詮赤の他人だからだ。

しかし、彼が物語のヒーローになり得なかった理由もそこにある。
彼は家族のために奮闘したが、人類を救うために戦ったわけではない。
ID4との決定的な違いがここにある。

物語の展開的には、ID4以降のエメリッヒ監督の作品と、ほぼ共通したものになっている。
導入部で「異変」が察知され、それが世界を揺るがすものであることがわかる。
その危機を回避するための対策が発動して、国家レベルのチームが活動する。

主人公はそこにある程度関わってはいるものの、中心にいるわけではない。だが、巻きこまれる形で、中心的な役割を果たすようになる。
そして、ギリギリのところで危機を回避して、めでたしめでたし……となる。
ある意味、ワンパターン(^^;)

『2012』では、主人公の問題への関わり方が薄かったことも、盛り上がらなかった一因だろう。
また、敵に相当する自然災害が、ID4の巨大円盤のような具体的な対象物として見えなかったことも、インパクトを弱めてしまった。

そもそも、太陽フレアから発するニュートリノが地球の核を暴走させる……というアイデア自体に相当な無理がある。
それは絶対にありえない設定だからだ。
もっとマシな理屈づけはできるのに、と思う。

クライマックスシーンでは、箱船の扉が閉まらなくなって、それが歯車に絡んだワイヤーのためだった……というのも、なんだかなーという、つまんない理由づけだ。そもそも、その原因を作ったのが、密航しようとした主人公だからね。

水没しそうになりながら、主人公は絡まったワイヤーを取り外すのだが、ギリギリ間に合って、船の艦橋のクルーたちが大歓声……。
う~む、なんか白々しい光景に見えて、ぜんぜん盛り上がらない。

基本的に、脚本がダメなんだね。
監督が脚本にも加わっているが、もっと書ける人に脚本はまかせて、監督は映像作りに専念した方がいいように思う。

映像は素晴らしい、でも、物語がダメ。

それが結論(^^;)

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