事業仕分けに見る、プレゼン能力のなさ」でも触れたが、日本のスパコン開発について、賛否それぞれの記事が出ていた。

まず、開発を廃止されることへの反対派の意見が以下。

スパコン開発の「見送り」に大クレーム、事業仕分け判断に科学者ら | BCN Bizline

 同コンソーシアムは「スパコンは、現代の科学技術全体において主要な位置を占めている」としたうえで、「国民生活につながる最先端の技術開発では、スパコンを使ったシミュレーションが、国際競争力における主要な武器になっている」と、同開発が基礎科学の研究の遅延など、影響は大きいと訴えている。

続いて、開発廃止に賛成の意見が以下。

国策スパコンを事業仕分けで凍結、これはグッドニュースだ – 東葛人的視点:ITpro

 スパコンの黄昏では、こんなことを書いた。「今のIT産業の状況を考えると、そもそも国策プロジェクトという発想が古い。そして、ベクトル演算方式のマシンも古い。驚嘆するようなスピード技術であるのは認めるが、コンピュータがコモディティ化し、グリッド・コンピューティングだ、クラウド・コンピューティングだと騒いでいるご時勢にあっては、恐竜の感は否めない。国の特注品で、特殊すぎて他のコンピュータ製品への技術転用も不可能だ」

そんなわけで今年5月、プロジェクトに参画していたNEC、日立製作所、富士通のうち、ベクトル演算方式での開発を進めていたNECと日立が撤退した。残った富士通が開発するのは、複数プロセッサでの並列処理が前提のスカラー演算方式だ。これは今風のマシンなのだから、なにも国家主導で開発を進めることはない。民間企業が商売のために作ったマシンを、購入すればよいだけだ。

私は後者の意見に賛成だ。

現在、スパコンのランキングで上位にあるものは、Intel、AMD、IBMのCPUを使っている。この3社は、いずれも汎用CPUを生産していて、スパコンの技術が汎用にも活かされている……というか、汎用の技術でスパコンに応用しているといった方がいいのかもしれない。

スパコンがどのようなシステムになっているかは、以下の記事が参考になる。

スパコン:約4万のチップを1週間でアップグレードする方法(動画) | WIRED VISION

世界最速のスーパーコンピューター(日本語版記事)になった米Cray社製の『Cray XT5』(通称『Jaguar』)は、1.759ペタフロップスの演算能力を達成した怪物コンピューターだ。

Jaguarには、米AMD社製プロセッサーが約3万7376個使用されている。プロセッサーコアの総数は25万5584個で、2.6GHzで動作するAMD社の6コア・プロセッサー『Istanbul Opteron』を使って構築されている。

つまり、1つのCPUは秋葉で売られているチップと大差ないのだ。
考えようによっては、個人がスパコンを作ることも可能だろう。資金があれば部品は調達できるわけだし、あとは場所とシステムを構築する知識があればいい。
PS3を使ったスパコンだって可能なのだから、自作スパコンも現実離れした話ではなくなる。

ちなみに、Istanbul Opteronの2.4GHzモデルが、実売で93,240円だということで、3万個となると、27億9720万円かかる。
PS3を8個つないでスパコン代わりにした研究者の例からいえば、実用的には3万個も必要なさそうだ。仮に、1000個使ったとしたら、PS3が1台26000円として、2600万円となる。周辺の設備やシステム構築、維持費などをおおざっぱに足しても、数億円で稼働できるような気がする。

国産スパコンのために700億円も要求するのは、コストがかかりすぎだろうね。

反対派の意見の中に、「スパコンを使ったシミュレーション」という言葉があるように、要はスパコンのハードを作ることよりも、それをどう使うかの問題である。

ペタフロップ単位の計算ができればいいのなら、PS3スパコンを真面目に検討してもいいよう思う。CELLプロセッサはIBM主導とはいえ、いちおうソニーと東芝も関わっている。純国産ではないが、名目上、3分の2は国産だともいえる。

1000台のPS3がスパコンの心臓部として並んでいるのは、なかなか壮観なイメージを想像する。
ゲームもできるスパコン……なんて、面白いじゃないか(^_^)

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