LINEで送る
Pocket

【サッカー】外国人監督に日本人のメンタリティを期待するのは筋違い
【サッカー】アジア2次予選、日本 VS. シリアの論評について
……の続き。

前エントリ以降に出てきた、シリア戦の論評についての補足。

前々から書いていることではあるが……
日本のサッカー評論家はアジアのレベルが低いとか、日本のレベルが低いと、口癖のようにいうのだが、サッカー評論のレベルも低すぎる。「なるほど、その分析は素晴らしい」といえる記事が、数えるほどしかない。
最近のサッカーの試合は、選手それぞれのスタッツが克明に記録されているので、印象だけでは不明確な部分を客観的な数字で確認できるようになっている。3月24日のアフガニスタン戦の基本スタッツは公開されているので、おそらくシリア戦でも同様のデータは取られていると思われる。データとしてはもっと詳細なものがあるはずで、評論家ならそのデータを入手して分析に役立てるのが仕事ではないか?
スポーツサイエンスという分野があるように、現在のスポーツは精神論や経験論だけでなく、科学的に分析するものになっている。データを解析することで、なにが良かったか、なにが悪かったか、どうすると改善できるか……といったことが、客観的に見えてくる場合がある。それを踏まえての論評であれば、説得力は増すというものだ。

武田氏の論評も、ただの印象論に終始している。

武田修宏氏「日本は個人技で圧倒。ハリル戦術に関しては相変わらず疑問しかない」

 それでも、前半は冷静じゃないシーンもあったね。何度も言っていることだけど、パスをつなげばいい場面で慌てて縦にボールを入れるなど、攻め急いだ。ハリルホジッチ監督の指示で、選手は速さを求められているから、焦ってミスをしてしまう。相手の出方に応じて冷静に攻めればいいのに…。このハリル戦術に関しては、相変わらず疑問しかないよ。

焦ってミスをしてしまう」というのは、武田氏の印象だよね。私にはそうは見えなかった。チャレンジしてのミスだから、チャレンジしないでパスで逃げておけばミスにはならないかもしれない。しかし、それでは積極性に欠ける攻めになってしまう。まだまだハリルホジッチ監督の目指すサッカーにはほど遠いと思うのだが、それはチャレンジし続けないと辿り着けない目標でもある。ハリルホジッチ監督の目標が「10」だとしたら、現状はやっと「5」くらいではないだろうか。未完成のチームだから、ミスは起きやすい。だが、ミスを恐れていたら成長もない。

ハリル戦術に関しては、相変わらず疑問しかない」というが、監督の心が読めるわけではないのだから、真の意図なんて誰にもわかるわけがない。
それでも、やろうとしていることは見えつつある。監督の意図を選手が確実に実行できているわけでもなく、刻々と変わる状況でできることとできないことがある。そのことは、選手でもあった武田氏も十分わかっているはずだ。
監督にできることは、練習での指示、試合前のミーティングやフォーメーションの指示、試合中にベンチから声をかけること、そして選手交代くらいだ。試合中にできることは限られ、大部分はピッチ上の選手の判断と行動に委ねられる。動き始めた試合を思い通りにコントロールすることは難しく、監督の采配は試合開始前に8割くらいは完結していると思う。

武田氏の過去の論評なども読んでいるが、氏のサッカーは時代遅れという気がする。武田氏が現役だった頃のサッカーを引きずっているのではないだろうか?

武田氏は監督をすべきだ。

その資格は持っているわけだし、自身のいうより優れた戦術とやらを監督としてチームを率いて、実践、証明してみせることだ。
皮肉でいっているのではない。武田氏の現役時代の経験と実績を、次世代に還元することが望ましいと思うのだ。テレビのバラエティで、ヘラヘラ笑っている場合じゃない。日本のサッカーを憂うのなら、武田氏はサッカーの現場に戻るべきだ。
いきなり代表監督は無理だろうが、J2、J3、JFLなどの下位カテゴリで経験を積んで、「オレが日本のサッカーを変えてやる」という気迫を見せて欲しい。
武田氏は、それを実行できる立場にいる。ただのサッカー評論家やサッカーファンとは違うのだ。

野球の世界では、解説者を経て監督になるケースが多い。鋭い解説をしていた人は、監督になってもいってきたことを実践して結果を出すことが多い。
有言実行だ。
Jリーグでも、ワールドカップ出場経験世代が監督になる年齢になってきたが、武田氏もその戦列に加わることを望む。Jリーグ発足前後を支えてきた選手として、口先だけの評論家に終わって欲しくないと思う。

(Visited 18 times, 1 visits today)