分解屋、Pepperをバラす

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新製品が出ると、分解して中身を確かめ、検証する分解屋がいる。
部品はなにが使われているか、かかっているコストはどのくらいか、先進性はどれほどなのか……などを探る。

なんと、Pepperを分解した人たちがいた(^_^)
ここまでやるとは……

Pepperの分解を開始! 軽妙なトークの出どころを探る – ロボット – 日経テクノロジーオンライン

 「それじゃあ、始めますか」

午後1時過ぎ、都内某所。その一言で張り詰めた空気が動き、多くの参加者がつくる輪が縮んでいく。中心にいるのはPepper。いよいよ、家庭向けヒト型ロボットの本質に迫る作業が始まる。Pepper分解班の面々は湧き上がる興奮を隠せないでいた。

(中略)

表面を隈なく精査すると、後頭部の下側に4箇所、微妙に色が違う米粒大の部分がある。これがネジを隠しているのではないか。しかし、嵌めこまれた部材を、何かを挟んでこじ開けようにも、肝心のすき間が全くない。

分解班は最後の手段に打って出た。

ドリルで穴を開けてしまおうというわけだ。もはや、後戻りはできない。

ペッパー分解

たたでさえ高価なPepperを分解……というより解体していく過程は面白い。ドリルで穴を開ければ、もはや完全に元には戻せないし、分解している時点でサポート対象外だね(^_^)。

しかし、この分解レポートは、本来非公表のはずの中身を見られるという点で、貴重なものだろう。メカ好きには、とても興味深い。

頭は知能の宿る場所 – ロボット – 日経テクノロジーオンライン

「おーっ!」。分解班の歓声に包まれ、現れ出たのはPepperの頭の中身である。

Pepperの頭部には人と同様、目や耳、口に当たる部品が組み込まれている。しかしその置き場所が違う。耳にあたるマイクロフォン・アレイは頭頂部にある。人なら耳があるところには、スピーカーが置かれている。

目のように見える部分の奥には距離画像センサー。左目側から出た赤外光が外部のモノに当たり、その反射光を右目側のセンサーで受けて、奥行きを測定する仕組みらしい。距離画像センサーの上にはオレンジ色の基板があって、発光部と受光部を取り囲むようにLEDが並んでいる。Pepperの状態に応じて、「目」のまわりをピンクや緑に照らすためだ。

では人の目に当たるカメラはどこにあるのか。上の写真で「顔」の裏側にある2つの部品がそれだ。額に開いた穴と口に見える穴から、それぞれ外界を覗いている。

な~るほど。擬人化になっている目、耳、口は本来の目的通りではなく、機能的に振り分けられているのか。こういうのは分解してみないとわからないことだね。
読んでるこっちまで、わくわくしてしまったよ。

頭は知能の宿る場所(page 3) – ロボット – 日経テクノロジーオンライン

 これがどうやら、Pepperの頭脳らしい。

案の定である。ケースの中には米Intel社のAtomプロセッサーが実装された基板があった。

CPUはAtomか。Atomのどのバージョンなのかも知りたいところ。
余談だが、Pepperの頭脳がAtom(アトム)というのは、鉄腕アトムを連想してしまった。偶然なのだろうが、面白い偶然。

引いてダメなら押してみな – ロボット – 日経テクノロジーオンライン

そろそろ全員が諦めかけたころ。「あ、分かった」。1人が閃いた。

「こうすればいいんだよ」。おもむろに、Pepperの上半身を傾けた。両脇に手を掛け力任せに上に引き上げると、左右のバンドは一様に引っ張られる。一方で上体を傾げれば、片方のバンドはピンと張るが、反対側は逆に緩む。緩んだ側のバンドから外していけばいいわけだ。

分解するのも大変そうだが、この構造を設計した人は、なかなかにすごいと思う。ギミックをよく考えている。

パーツが外されていくと、だんだん人型ロボットではなくなり、ただの部品のカタマリになっていく。それぞれのパーツは見慣れたものであり、既製品も多く使われているようだ。Pepperを擬人化しているのは、外観のデザインであり、ソフトウエアであることがよくわかる。

もう昔には戻れない – ロボット – 日経テクノロジーオンライン

 果たしてPepperの設計は優れているのか。こう聞くと、専門家は答えた。確かにこのハードウエアは凄い。ただし、それを評価するには、何に使うロボットかを定義する必要がある。翻ってPepperの用途とは何なのか。

専門家は、本当はソフトバンクから「これは」と思うアプリが、1つでいいから出てきてほしいと語る。今のところ、驚くような提案はなかった。会話や介護、ゲームなど、これまでの想定の範囲内にとどまる。恐らく今、一番大きい用途は、ユーザーとの会話を中心に据えたコミュニケーション用途だろう。だとすると、ここまで贅沢なハードウエアは本当に必要だったのか。

(中略)

これまで二回あったロボットブームはシーズ志向だった。「AIBO」や「ASIMO」が登場した時も、愛知万博の時も、結局は技術ができましたという提案で、ユーザーの要望は二の次だった。所詮は長続きせず、後には失望という名の反動が来た。

今回のブームが違うのはユーザーの需要があることだ。介護ロボットやメンテナンスロボットは、少子高齢化が進む日本の社会の切実な要請である。だからこそ今回は失望させたくない。もし今度もしくじれば、ユーザー起点であるだけに痛手は大きい。ロボットは二度と復活できないかもしれない。

人型ロボットとして、Pepperが試金石になるだろうとは思うけど、それが失敗してもロボット開発は続くと思うよ。

なぜなら、子どもの頃からロボットに憧れて育ってきた、日本人の「夢」だから。

AIBOは失望されたとはいいがたく、メーカーサポートが終わった現在でも、生かし続けようとしているユーザー達がいる。採算が合わないと、サジを投げたのはメーカーの方だからね。AIBOに愛着を持っていたユーザーにとっての不幸は、生みの親から突き放されたことだった。

Pepperだって、最初は赤字覚悟の野心的な挑戦でも、いつまでも利益を生まなければ、メーカーに見捨てられる。そうなったとき、Pepperのユーザーは、悲しい思いをすることになる。

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ロボット開発は各国で行われているが、人型ロボットに一番注力しているのは日本だ。
ある意味、ロボットのガラパゴス化に突き進んでいるともいえる。しかし、それでいいんじゃないかと思う。サブカル的なロボット技術として、人型ロボットに特化することが、世界の最先端になるような気がする。

Pepperが成功例になれば、ロボット需要も高まるかもしれない。
一般販売は早々に売り切れてしまったようだが、第二世代、第三世代のPepperが登場してくるかどうかが、成功するかどうかの分かれ目だろうね。
一発屋で終わってしまう可能性は、なきにしもあらず。

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