出版社でボツになったマンガを独自に公開する作家に注目

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ネット時代ならではの売り込み方法だと感心した。

ネーム600ページ描いたけど出版社でボツになったので……そんなSF漫画がネットで公開 – ねとらぼ

 「機械人形ナナミちゃん」というSF漫画がニコニコ動画やYouTubeで公開されています。作者の木星在住さんによると、とある出版社にコミケでスカウトされてネームを600ページ描いたもののボツになってしまい「もったいないので」投稿することにしたそうです。
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機械人形ナナミちゃん

機械人形ナナミちゃん

第1話を読んだ。

面白い!

絵の完成度は高いし、ストーリーをもう少し磨けば、もっとよくなりそうだ。
この作品をボツにした出版社は、ボツにするのではなく、もう少しブラッシュアップさせればよかったのに。アニメ化にも向いていそうな作品で、人気は出そうな気がする。

出版社にボツにされるのは、けっこう精神的にキツイんだよね。

私は若かりし頃、アニメーターをやっていたというのは過去記事に書いたことがあるが、じつはマンガも描いていた。同人誌に発表していたのだが、それを見た某中堅出版社からスカウトされて、SFマンガを1本描いたことがある。SFマンガで有名な出版社だった。それがデビュー作だったのだが、2本目はボツになって、それっきり。

あのときは落ち込んだね。
ペンネームでの発表なので、諫山の名前で検索しても出てこないよ(笑)。
その後、マンガからは遠ざかってしまって、描かなくなった。

小説でもマンガでも、作品を精力的に発表できる「旬」の年齢というのがある。人によって、早咲きだったり遅咲きだったりするが、その旬のときにチャンスが巡ってくるかどうかで、その後の人生が変わる。

サーフィンにたとえれば、大きな波が来たときにうまく乗れれば、スイスイ乗っていけるが、乗れなければ置き去りにされる。次の波を待ってみても、小さな波しか来なくて、ぜんぜん乗れないようなもの。

プロ作家になるというのは、個人の努力も必要だが、出版社や編集者との出会いが大きく左右する。作品を商品として世に送り出すのは、出版社なしには不可能だからだ。電子ブックでセルフ出版ができるようにはなっているが、コミケで売る方がまだ売れるというレベルでしかない。

出版不況だといわれていても、プロ作家としてやっていくには、出版社を通さないと成り立たないのも現実。
プロを目指す人は、それなりに自信を持って作品を描いているものだ。それがボツになるというのは、すべてを否定されているような感覚になり、ひどく落ち込む。

木星在住氏の作品を、私は支持する。
氏は、今が旬ではないかと思う。
この勢いがあるときに、いい出版社が拾ってあげて、才能を伸ばしてやってほしいものだ。

健闘を祈る!

 続報! 
祝!『機械人形 ナナミちゃん』単行本発売

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