GoogleはAIをも支配するのか?


 AIとは、Artificial Intelligenceで、「人工知能」と訳されている。
 天下のGoogleは、AIの開発にも積極的だという記事。

世界的権威レイ・カーツワイルが、グーグルで目指す「究極のAI」 ≪ WIRED.jp

昨年、AI(人工知能)研究の分野で世界的権威のひとりとされるレイ・カーツワイルがグーグルに加わったが、同社が長らくAI研究を進めてきたことを考えると、これはそれほど意外なことでない。

しかし、カーツワイル氏が「ハードなAI(人工物に意識や精神を生じさせることができるとする考え方)」の立場をとる代表的な研究者であることから、一部にはこの動きに注目する人たちもいた。また、グーグルが人工頭脳開発のために「ディープ・ラーニング」(日本語版記事)と呼ばれるニューラルネットワーク技術の研究を進めており、カーツワイルの後にはニューラルネットワークの第一人者であるジェフリー・ヒントンも雇い入れている。

これらの動きを考え合わせると、グーグルは誰よりも真剣にAI開発に取り組むつもりのようだ。これはスリリングだが、末恐ろしいことでもある。

(中略)

──開発したシステムが複雑な自然言語を本当に理解できるようになったとき、それは「意識」であると言い切れますか?

カーツワイル そう呼ぶでしょう。わたしは以前から、2029年にはそのようなシステムができると予想してきました。そして、このシステムは単なる論理的知能(logical intelligence)ではなく、感情的知能(emotional intelligence)を意味します。

 このニュースは、ほかではあまり取り上げられていなくて、注目度は低いようだ。
 だが、これはものすごいことになるかもしれない可能性を秘めている。
 「AI」という言葉は、いささか錆びついていて、やや古くささすら感じる。コンピュータの処理能力は飛躍的に向上したものの、人工知能と呼べるようなレベルにはまだ到達していない。イメージだけが先行した「AI」だが、いまだ現実的ではないために忘れ去られたかのようだ。

 SF小説やSF映画では、人工知能が人間に反乱を起こすという話が多いため、人工知能に対してネガティブなイメージがつきまとう。
 代表的なのは、『2001年宇宙の旅』のHAL9000だ。
 制作当時の電子計算機は電卓レベルだったにもかかわらず、キューブリックとアーサー・C・クラークは、自意識を持つコンピュータを登場させた。この映画は、その後のSF映画のターニングポイントになっただけでなく、コンピュータの未来も示唆する作品になった。
 これについては、ディスカバリーチャンネルでの番組『SF界の巨匠たち:アーサー・C・クラーク』が参考になる。この番組に登場する、科学者、技術者、映画監督、作家の人たちが、アーサー・C・クラークからどれほどの影響を受けたかがわかる。

 人工知能の開発とは、コンピュータがより人間に近づくことを意味のするのか?
 そこには、科学的かつ哲学的な問いかけがある。

 意識とはなにか?
 知能とはなにか?
 知性とはなにか?
 感情とはなにか?

 それらの問いかけは、コンピュータで計算できるものなのか?
 そもそも、人間の脳が神経細胞から成り立つ生物学的コンピュータとするなら、人の脳は意識や感情を「計算」していることになるのか?
 おそらく「YES」
 ゆえに、人工知能を作ることは可能。それがシリコンチップの人工知能とは限らないが。

 人工知能が人間に対して反乱を起こすとしたら、それは人間を模倣しているからだ……というのが、SF作品で投げかけられたテーマだ。
 神は自身に似せて人間を作ったとされる。その神は、神話の世界では善と邪悪が同居した存在として描かれた。コピーとして作られた人間もまた、善と邪悪が混在する。
 人工知能が人間の頭脳を模したコピーであるなら、人工知能もまた人間の長所と短所を持つことになる。

 人工知能を研究している科学者や技術者は少なくないと思う。
 将棋でコンピュータが勝つようになったのも、人工知能開発の流れの中にあるといってもいい。
 数学的な計算速度は、人間の能力をはるかに凌駕している。しかし、意識や感情をどうやって計算すればいいのかがわかっていない。
 翻訳ソフトが、とんちんかんな翻訳を出力するのは、単語の意味や構文の意味から、パズルのように組み合わせて訳文を出力するからで、そこには内容を理解する過程がない。
 人工知能が目指しているのは「理解すること」だ。
 意図を理解するために、「意識」や「感情」がなんであるかを理解し、数学的に記述できるようにする必要がある……のかもしれない。
 ロジャー・ペンローズは、意識は量子的に発生するといっているが、巨大なコンピュータネットワークの中から意識が芽生えるのか?……などとなると、サイバーパンクの世界になってしまう。

 ともあれ、Googleの目指す「究極のAI」が形になるには、まだまだ時間はかかりそうだが、どういう人工知能ができあがるかで、ネットだけにとどまらず社会が激変するようなことだってありうる。
 一企業のGoogleが人工知能の研究を積極的に進めることは、それが将来的に大きな利益を生むと考えているからだろう。人材、資金、設備のあるGoogleが人工知能を開発するとなると、その影響ははかりしれない。
 2029年には完成できると予想しているが、はたして……。

▼参考文献
ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫)
ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫) [文庫]

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