コンフェデ杯、ブラジル戦は、完敗だった。
スコア的に完敗は完敗でも、救いのある完敗もあるが、今回は救いのない完敗だ。
完敗の分析は、サッカー専門家の方たちがしているので、それを参照するとして……

完敗招いたザックに3つの提案|コラム|サッカー|スポーツナビ

 試合を終えて冷静に考えてみれば、純粋に力の差がそのままスコアに表れたゲームであった。今月4日にW杯予選突破を決め、11日に最後のイラク戦を終えて、ようやくアジアでの戦いから開放された日本であったが、すぐさま「世界モード」へとシフトチェンジできるわけがない。「アジアモード」から抜け切れていない状況で、W杯優勝5回を誇るブラジルにいきなりぶつかっても、力の差を見せつけられるのは当然と言えば当然である。

日本の敗因は『攻めのトラップ』が出来ていないことだ(清水 英斗) – 個人 – Yahoo!ニュース

技術力の差、と言ってしまえばそれで終わりだが、日本とブラジルのボールコントロールには決定的な違いがある。

ブラジルの選手はパスを止めるとき、常にボールを自分の前にさらして、「来てみろ。プレスをかけてきたら、サッとかわしてやる」と言わんばかりの余裕を持ってトラップする。いわば『攻めのトラップ』だ。守備者がかわされることを恐れて飛び込めなくなるような位置にボールを置いている。

ブラジルとの差は個ではない…王国とのアウェー戦で浮かび上がった日本の実情 – サッカーキング

 試合前から敗戦の予兆を感じた要因は、選手達ではなく、より間接的な出来事。試合の前日会見に遡ることになる。

(中略)

今回、日本のメディアは開催国のブラジルに次ぎ2番目に多い数が大挙して押し寄せたが、世界トップレベルとの個の差を指摘しているにも関わらず、各国が集まったメディアの中で埋没していたことは、矛盾を通り越して滑稽と思われても仕方がない。もちろん、ミックスゾーンで選手達の声を拾い、会見に出席しなかった場合もあるために一概には言えず何よりも自戒が前提にあるが、ワールドカップでの優勝を公言する日本代表の選手達に対してあまりにアンフェアであり、多くのものを背負わせ過ぎている印象を与えた。

ブラジル戦完敗にセルジオ越後氏「今のままでは永遠に差は埋まらない。悪いところは叩くべき」 – サッカーキング

「試合内容としては、昨年の欧州遠征で対戦した時のほうがまだ良かった。ビハインドを背負った時にどうすべきか、チームとしての方向性が見えなかったのはもちろん、選手一人ひとりに独立性がなく、解決策を見いだすことができない、つまり子どものサッカーだった」

「個」で通用したのは本田のみ 見せつけられたアジアと世界の差 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー

ブラジルは日本のプレッシャーでボールを失わないが、日本は失う。フィジカルや技術で通用しているのは本田ぐらいだった。それではサッカーにならない。本田が言っているように「完敗」で、長友の言っているように「プロと中学生」、大人と子供ぐらいの差があった。

ブラジルは最高のコンディションだったと思う。そんな相手に日本がベストコンディションで臨んでもかなうはずもなかったが、日本のコンディションは最高とはいえなかった。
この戦いを見て、W杯南アフリカ大会前のオランダとの親善試合(2009年9月)を思い出してしまった。あのときも完敗だったが、負け方としては似ている。
そのときの私のブログには……

諫山裕の仕事部屋〈blog〉 : 【サッカー】オランダ戦で見えた限界

 まるで大人と子どもが試合をしているような錯覚を覚えた。
大人はオランダであり、日本は子どもだ。
体格の違いで、小柄選手が多い日本チームは、プレスに行くときにちょこまかと動き回る子どもに見えた。

……と書いていた。
ブラジル戦後、長友がインタビューに「プロと中学生」くらい差があったと答えている。
つまり、4年前に退行してしまったようなものだ。

原因分析は上記の記事にいろいろと書かれているが、私が感じるのは日本人的な性格や弱さが顕著に出てしまったのではないかということ。

海外で活躍する選手が増え、経験もそれなりに積んでいるはずなのだが、全員が日本人のチームになると、なぜか良くも悪くも日本人的なチームになってしまう。チームワークは重要ではあるが、過度にメンバー同士が依存しあったり、譲りあったりもする。自己主張を抑えこんでしまって、わがままさを消してしまう。ゴールに近づいても、シュートではなくパスを選択してしまうのは、ゴールするための最善の選択としてのパスではなく、消極的な選択としてシュートすることを誰かに託してしまうからだろう。これは昔から変わらない日本チームの問題点だ。

香川が日本代表チームでは、なかなか能力を発揮できないのも、周りに合わせてしまっているからではないか。ドルトムントやマンUでは、香川を活かすサポートがあるから輝けるのだが、代表チームでは香川を活かすのではなく、香川が周りを活かそうとしているように見える。エースとして期待されているから、その期待に応えようとしているのだろうが、チームワークを重んじるあまりに、強引さが影を潜めている気がする。

本田は別格という感じではあるが、それでも最近はわがままさが薄れてきた。W杯南アフリカ大会のときは、直前までサブのメンバーであり、岡田監督のチームでは松井とともにアウトロー的な選手だった。南アフリカ大会では、アウトローだった本田と松井がチームを引っ張ったといってもいい。チームの中では異色の、とんがったふたりがチームを活性化し、サプライズを起こしたのだ。
しかし、現在の代表には、アウトロー的な選手がいない。しいていえば、乾あたりがその候補ではあるのだが、短い出場時間の中では結果を残せずにいる。

ブラジルとの個人技の差は歴然としてあるが、それよりも差が大きいのはメンタル面だ。
強敵ブラジルに対して、ビビっていたのだ。

自分たちは格下であり、弱い……という自覚はあるから、ビビる。まともにやりあったら、勝ち目はない……と、内心は思っていたと思う。対戦前は強気な発言も出ていたが、自分を鼓舞する意味での虚勢もあったのだろう。
相手をリスペクトすることは大事だが、恐れることとは違う。日本チームはブラジルを恐れていた。気持ちの上で負けていた。それを克服するのは、そうそう簡単なことではない。

個人技のレベルアップは、あと1年でどうこうなるものではない。それは少年サッカーの育成段階でするべきことだ。
できることは、メンタルの部分。メンタルで負けていたら、本来持っているはずの能力すら発揮できない。メンタルというと、根性論が出てきたりするのだが、根性とはちょっと違う。

冷静かつ素早い判断力、恐れを克服する強い精神力、先を読む想像力。
ビビってしまうと、思考も体も止まってしまう。

ブラジルチームはネイマールが中心になっているが、彼はまだ21歳だ。彼の個人技はこの1~2年で体得したものではなく、少年の頃からの蓄積だ。サッカーの環境が違っていたということ。

その差を、W杯までの1年で埋めるのは不可能。
なにかできるとしたら、メンタル面で多少なりとも強くなるくらいのことだ。

初戦で完敗してしまうと、点差以上に心が折れてしまう。疲労感は倍以上だろう。次のイタリア戦までに、折れた心を修復するのはかなり難しい。
意地を見せられるかどうかは、メンタルがどれだけ強いかだ。しかし、現在の日本チームに、その余力はないように思う。負けは負けでも0-1くらいだったら、まだ救いはあったのだが。

vs メキシコでは、どちらかが負けるか引き分け。負けた方は、やっぱりショックは大きいはずだ。イタリアが勝って日本と対戦することになると、向こうは調子が乗ってくるから、日本にはますます勝ち目がなくなる。

初戦で負けたら、3戦全敗……という予想も立てていたが、その理由はここだ。
勝てば波に乗れるが、負けたらずるずると谷底に落ちていく。戦力的に有利な立場ではないから、完敗したことはあとの試合に大きく影響する。

果たして、立て直せるのか?
イタリア戦は、悲壮な気持ちで観戦することになりそうだ。

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