マンガもアニメも大ヒットの「進撃の巨人」
 作者の諫山創氏と名字が同じだというのもあり、親近感がある(笑)。
 「諫山」あるいは「諌山」と、旧字と常用漢字の違いはあるが、全国的に見ると珍しい名字。ルーツは大分県の日田市近辺で、諫山創氏のプロフィールでも出身地は日田市になっている。私は日田市出身ではないが、亡き祖父の出身が日田市だった。そういう意味では同郷。

 デビュー2作目から初連載で、大ヒット作になるというサクセスストリーもすごいが、担当編集者もここまで快進撃するとは思わなかったとか。

“快”進撃の巨人 絶望と戦う姿に共感+(1/3ページ) – MSN産経ニュース

 作者の諫山氏は26歳で、これがデビュー作。「打った瞬間は『レフトフライかな?』と思ったが、実際は場外ホームランだった」と川窪さん。「ストーリーと原稿の絵に力があり、100万部は自力で売れるとは思っていた。でもまさか、こんなに数字が伸びるとは…」
※注:厳密にはデビュー作ではない。

 アニメでは楽曲の良さもあって、さらに面白くなっている。
 そのアニメが、韓国にも進撃しているという関連記事。

日本のアニメ「進撃の巨人」を巡って韓国で話題沸騰:日経ビジネスオンライン

 韓国では最近、Twitterや新聞の見出しに「進撃の○○」という表現が頻繁に登場する。これは何を意味する流行語なのだろうかと思い調べてみたら、日本のアニメ「進撃の巨人」から影響を受けたものだった。

 「進撃の巨人」は、今、韓国の若い世代に大人気だ。「進撃の巨人」のアニメ版が日本のテレビに初めて放映された4月7日、韓国のファンの間で「いよいよアニメの放映が始まった。韓国にも輸入してほしい」との意見が盛り上がった。この話題は韓国最大のポータルサイトNAVERの検索キーワードでも1位になった。検索キーワードで1位になると、「いったいこれは何?」とさらに検索する人が増える。新聞も今週のキーワードとして取り上げるので、テレビ広告並みの波及力を持つ。

 日本とほぼ同時進行で、韓国語版が放送されるという異例らしい。
 この記事を読んで、とても違和感を感じた。日本に対して、過剰ともいえる敵対心や憎悪をむきだしにするのが韓国のイメージだが、マンガやアニメはすんなり受け入れるというのが不思議だからだ。スポーツに政治的主張を持ち込むことはやるし、芸能人が日本批判をすることが支持されたりする。日本製品の不買運動なども話題になったりしたが、日本アニメに対して拒否反応が出てこないのはなぜなんだろう?
 不可解な国だ。
 建前と本音があるのは当然かもしれない。反日教育が国是だから、日本は「悪」の象徴。日本を称賛すると非国民にされてしまうから、反日の意思表示をしなくてはいけない風潮もあるのだろう。日本製品や日本アニメが好きでも、親日であるとはいえない。そういう意味では、言論の自由がない国なのかもしれない。

 「進撃の巨人」が大人気だといっても、やはり反日衝動は抑えられないらしい。

人気漫画「進撃の巨人」作者のブログがハングルを交えて炎上中 – IBTimes:世界の最新ビジネスニュース

 これに反応したファンは「エロらぶこめ!読んでみたいです!」のようにコメントしていたが、8番目に書き込まれたアニメ「進撃の巨人」の韓国語訳の違法動画を求める内容がきっかけで、ハングルのコメントや日韓双方を中傷するコメントが多数みられるようになった。

 作家のサイトで、いつもの中傷合戦が始まったらしい。
 嫌韓、嫌日の人たちは、脊髄反射的にバッシングのスイッチが入ってしまう。脊髄反射は理性以前の反応なので、抑えようがない。
 さらには、韓国メディアも脊髄反射を始めてしまう。

「進撃の巨人」に韓国ネチズンが難クセ 「日本の軍国主義礼賛」「極右政治家がオーバーラップ」 (1/2) : J-CASTニュース

韓国のIT専門紙「etnews」(電子版)は2013年5月30日付けのコラムで、 巨人の登場により、外壁部に住む弱者たちから戦場に追い込まれるというストーリーは「日本の軍国主義を想起せざるを得ない」と指摘。その上で、「敗北主義にまみれた日本人に、軍隊を保有して出ていこうというメッセージを絶えず発信している。安倍政権の極右政治家がオーバーラップする」と主張した。

これに先立つ5月27日に公開された、「オーマイニュース」の市民記者による記事にも、現在、韓国のネットユーザーのなかでもっとも説得力のある「進撃の巨人」の解釈として、「日本軍国主義賛美」があると書かれていた。

 ものすごい曲解だが、そういう解釈が成り立たなくもないことは否定しない。
 物語とは、ある時代のある社会の状況から、インスパイアされたり寓話にしたりするものだからだ。ハリウッド映画には、アメリカの立場や考えが少なからず背景にあることは間違いない。戦争映画で、アメリカ軍が英雄として描かれることが多いのは、自国の軍隊を誇りに思っているからだ。それを「アメリカ軍国主義賛美」と解釈するかどうかは、解釈する側の立場による。

 こうした反応を見ていると、「教育」というのは重要だと思う。
 人を憎むように育てられれば、憎悪の目でしか見られなくなる。もし、日本が反米教育を続けていたら、アメリカのすることなすことすべてに憎悪を向ける国になっていただろう。対米追従を批判されることもあるが、アメリカが好きな人も嫌いな人も、自由に意見をいえることは素晴らしいことだ。

 ネット上では、嫌韓の意見が多く出る傾向にあるが、その一因は、ことあるごとに浴びせられる韓国からの反日の言動や行動にある。負の感情をぶつけられると、誰しも不愉快になるものだ。不愉快だから、負の感情を返す。それが嫌韓になっていく。
 私も含めて、戦後生まれ世代にとっては、過去のことは関係のない話(どうでもいいということではない)。現在のこと、未来のことについて話をしたいのに、生まれる前の過去の話で責められるのは苦痛に感じる。アメリカ人と交流するときに、「よくも東京を焼け野原にして、原爆を落としてくれたな」などと怨念をぶつけたりはしない。親の仇を討つために生きているのではないのだから。

 安倍政権が右傾化していると批判されるが、日本人から見れば右寄りだとは思うけれども、軍国主義が復活するなどというのはナンセンス。ときに選挙で間違った選択をしてしまうこともあるが、NOをつきつけて政権から引きずり下ろすこともできる。国民は、そのくらいのバランス感覚を持ちあわせている。
 むしろ、反日のバッシングをすることは、右傾化に油を注ぐことになる。右寄りの人たちに、口実を与えることになってしまうからだ。

 ともあれ、「進撃の巨人」は面白い。
 作品の背景に、世相が反映されているとはいえるけれども、右傾化や軍国主義はまったく無縁であることは断言できる。敵と戦う……といった物語やゲームは、いくらでもある。それらにいちいち右傾化だ、軍国主義だと反応していたらキリがない。
 純粋に物語を楽しんでほしいものだ。

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