いまやほぼ常識化している、エスカレーターの片側開け。
 東京では左側に止まって乗り、右側が歩いて登る人になっている。関西では逆だ。福岡に行ったときには、東京式だった。
 片側開けは、もともとは鉄道会社が勧めてきたことなのだという。

Listening:エスカレーターの「片側開け」 鉄道会社、対応困った 「危険」それとも「マナー」- 毎日jp(毎日新聞)

 かつては鉄道会社自身、積極的に片側開けを勧めていた。1967(昭和42)年、阪急電鉄が梅田駅(大阪市北区)にエスカレーターを設置した際「歩いて上り下りする方のために左側をお開けください」と放送したのが広がったという。そのためか、利用客の多くは片側開けを「」と考えている。鉄道の相互乗り入れなどに伴い長いエスカレーターが増え「急ぐ客は長い間立ったまま乗っていられない」(鉄道会社関係者)という事情もあるようだ。

 エスカレーターの片側開けは、地下鉄のある都市部に浸透した慣習だ。地下鉄のない街だと、そもそもエスカレーターがあるのはデパートなどの大きな建物だけなので、急いで登る必要がない。
 この「片側開け」が問題になっているというが、鉄道会社が始めたことであり、階段を潰してエスカレーターに置きかえたのも鉄道会社である。

 原発が停止して節電が叫ばれたとき、エスカレーターの多くが止められ、使用不能になった。階段と併走するエスカレーターの場合は、階段を登ればいいのだが、エスカレーターしかないところを止められると、階段のあるところまで回り道をすることになった。
 深度の深い大江戸線などでは、地上に出るまで長いエスカレーターになっているため、階段があっても登るのが大変だった。2~3階分くらいなら階段でもあまり苦にはならないが、4~5階分あるとかなり息が上がる。
 大部分のエスカレーターが止められたとき、それがいかに無用の長物であったかがわかったものだ。しかも、止まっているエスカレーターを階段として使えない(使わなかった)のだから、なおさら無駄に思えた。

 エスカレーターのステップの段差が、通常の階段より高くなっているから危険というのであれば、通常の階段と同等の規格に変えればいいように思う。しかし、それだと階段数が増えるから、コストが高くなってしまうのだろう。
 片側を開ければ通れる幅だから、急ぐ人は片側を通る。幅が20~30センチ狭ければ、二人並んで立てるけれども、横を通ることはできない、という微妙な幅になる。かといって、いまさら狭いエスカレーターに変えるには、コストがかかりすぎる。

 私の家に近い最寄り駅もそうだが、ホームに上がる主要な上り口には、エスカレーターしかない。階段もあるのだが、ホームの反対方向側に上がる構造になっているため、大部分の人はエスカレーターを使う。併走する階段がないから、片側開けにしないと朝の通勤時には停滞してしまう。
 これは構造的欠陥だろう。
 エレベータもあるが、使用する人は少ない。理由は「遅い」からだ。ビルでいえば3階分くらいの落差だが、エレベータはかなり遅い。ベビーカーはエスカレーターでは禁止されているものの、エレベータが遅いから、エスカレーターにベビーカーを載せる人が多い。
 安全性を考慮して、エスカレーターもエレベータも「遅い」スピードなのだろうが、その遅さが仇になっている。急いでいなくても、あの遅さはイラつく。階段を登るときは、自分のスピードで速くも遅くもできるから、かかる時間が変わらなくても気にならないものだ。
 実験してみないとなんともいえないが、エスカレーターのスピードを若干速くすることで、止まって乗ることのイライラが解消される気がする。高齢者、小さい子ども連れ、身障者の方たちには、エレベータの利用を勧めて、なおかつエレベータのスピードも上げればいいように思う。

 エスカレータを歩いて登ったからといって、目的地に確実に早く着くわけではないものの、電車を1本逃すと、時間を損したような気分になるものだ。朝のラッシュ時には、3~5分おきくらいで電車は来るが、1本逃すと、途中の乗り換えのタイミングなどで、会社に着くのが15分くらい変わってくることもある。1本逃したことで遅刻してしまう人もいるだろう。

 節電でエスカレータを止めたときの教訓からいえば、ビル2階分くらいであればエスカレータはなくてもいいってこと。停電することを前提にしていないから、エスカレータしかない上り口があったりする。
 また、エスカレータを止めて、階段として使えるような設計になっていないのも、リスクマネージメントの欠如だろうね。朝のラッシュ時は、エスカレータを止めて階段にすれば、片側開けの弊害も減らせる気がする。
 根本的な解決をしたいのなら、幅を狭くして、1.5人分にするしかないと思う。
 とはいえ、常識化した片側開けを禁止するのは難しい。禁止するには、代替となる階段がない場合は、新たに併設する必要がある。
 いずれにしても、構造的な問題が根本だから、マナーだけでは改善しにくいだろうね。

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