北朝鮮がミサイルを発射するぞ……と挑発するたびに話題になる、ミサイル防衛の是非。
 都内にもPAC-3が配備されて話題になっているが、そのミサイルの迎撃能力があるのかどうかが問題にされる。
 ミサイルが標的に当たるか当たらないかは、撃ってみないとわからないのが実態だと思うが、専門家によって「想定される有効性」の評価は両極端だ。
 nonreal氏は、有効だという。

ミサイル防衛(PAC-3)無効論を斬ってみる (1/2)(nonreal) – BLOGOS(ブロゴス)

アメリカでは、議会の会計などを厳正にときには批判的に審査するウォッチドッグの役目を持つ独立機関がいくつもあります。例えばGAO(米会計検査院)などもしばしばMD政策の不備を報告し、より効率的な運用のために厳しい意見を発表しますが、技術的に「当たらない」だの「使えない」だのという見解は現在ありません。

 nonreal氏の他の記事も参照したが、過去の試験では良い成果を上げているとしている。
 一方で、有効性に疑問を投げかけているのが田中宇氏の記事。昨年の記事だが……

「田中宇の国際ニュース解説」あたらないミサイル防衛(2012年3月23日付けの記事)

 米政府の会計検査院(GAO)が4月20日、米欧や日本で配備しているイージス艦などを使ったミサイル防衛の迎撃システムについて、うまく迎撃できることが確認できないまま配備されているとする、批判的な報告書を発表した。国防総省が、ミサイル防衛システムの実験を続ける一方で、実験段階が終わらないまま実戦配備を始めているので無駄が多く、予算超過の状態が続いていると、報告書は指摘している。米国防総省は昨年度、イージス艦SM3などのミサイル防衛について5回の試験をしたが、いずれも失敗に終わっている。

(中略)

 最近では、2010年に地対空の迎撃システムについて、南太平洋から打ち上げた敵のミサイルを米西海岸から打ち上げるミサイルで迎撃する試験が2回行われたが、いずれも失敗している。米西海岸には、すでに30基の迎撃ミサイルが配備されているが、これらが役立たずであることがわかってしまった。迎撃に失敗した原因を究明して対策を講じたら、次回の試験をすることになっているが、試験は10年末以来行われていない。

 かたや成功例が多いといい、かたや失敗が多いと、異なる見解というか報告をもとにしている。
 報告の発表元は異なるものの、どちらも公式な文書にもとづいている。
 どっちが正しいのか?……と、混乱するような情報だ。

 中を取って、「そこそこ当たるが百発百中ではない」というあたりが妥当なところか。
 いずれにしても、実戦で多数の発射・迎撃事例があるわけではないので、期待値が大きいとはいえる。
 アメリカ軍はあちこちで戦争をしているから、実戦経験のある軍隊だが、自衛隊はそうではないあたりが不安要素かもしれない。
 実弾訓練、実射訓練をしてはいても、実戦となると兵士の緊張感やストレスは大きくなる。いざ、ミサイル発射……というときになって、訓練通りのことができるのかどうかは、そのときになってみないとわからない。
 兵器としての性能は有効だとしても、ヒューマンエラーは発生するので、単純な操作ミスで迎撃に失敗することもありえる。

 市ヶ谷の防衛省にPAC-3が配備された記事で、いくつかの写真があったが、ビルの前の庭だが広場だかにポツンと置かれているミサイルが、緊張感をあおるというよりは、のどかな雰囲気に見えてしまった。数機のPAC-3発射機では、頼りなく見えてしまうからだ。
 そもそも市ヶ谷が、迎撃ポイントとして最適の場所なのかどうかも疑問だ。なんとなく、デモンストレーションとして、防衛省の土地に置いたという気がする。
 国会議事堂の前に配備するとかの方が、デモンストレーションとしてもインパクトがあって効果的だと思うのだが。

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