60秒でマックが出てくる……というマクドナルドのサービス。賛否もあるようだが、「分」ではなく「秒」で表示しているのがミソ、いやソースなのかもしれない。
 「1分」と表示するのと「60秒」とでは、「分」の方が長い感じがする。「秒」と書くといかにも早いような気になるから不思議。
 このサービスについて、小田嶋氏がいつもよりクールな記事を書いていた。

60秒間の奇跡:日経ビジネスオンライン

 「60秒サービス」は、日本マクドナルドがこの1月4日からはじめたキャンペーンで、内容は「会計終了から商品を渡すまでの時間を砂時計で計り、60秒を超えた場合はバーガー無料券を、60秒以内でもコーヒーSサイズの無料券をプレゼントする」というものだ。ちなみに、期間は1月末まで。日本全国のマクドナルド各店で、午前11時~午後2時の間に実施しているのだそうだ。
 
 当初、この話を、私は、まったくの冗談だと思っていた。

 というのも、ファーストフードのチェーン店は、私の知る限り、昔から、心ない都市伝説の宝庫だったからだ。

 ちなみに、東京では「マック」、関西では「マクド」と略するらしいが、「マック」と聞くと「Macintosh」をイメージする私。

「新しいマック、買いたいんだけど」と私。
「いいよ。わたし、チキンタツタがいい」と妻。
「いや、そのマックじゃなくて……」
 などという会話を何度したことか(笑)。

 マクドナルドは月に1~2度くらいの頻度で食べているが、たいていは期間限定のメニューが出たとき。
 ハンバーガーはマクドナルドよりモスバーガー派。
 以前は近所にモスバーガーがあったのだが、店の立地がよくなかったためか、採算が取れなかったようで閉店してしまった。それ以来、隣駅の駅構内にあるモスバーガーを買うために、途中下車して買って帰ることが多くなった。
 近所のモスバーガー閉店後、駅から近い好立地にマクドナルドができた。
 店の規模としては小さい方だが、競合する他のハンバーガーショップがないこともあって、いつも混雑している。
 今年になってまだ行ってないので、60秒サービスは見ていない。あの混雑ぶりで60秒が可能なのかどうか、ちょっと気になる。

 近所のマクドナルドは店舗が小さいため、カウンターと調理場狭い。大型店ではカウンターから調理場が見えないように目隠しされる構造になっているが、近所の場合は丸見え。
 なので、どういう手順で作られているのかが観察できる。
 商品が出てくるまでの間、自分が注文したものの作られる過程が見られる。
 パテは注文を受けてから焼くのではなく、すでに焼かれたというか暖められたものが、引き出しの中に用意されている。おそらく、その引き出しには冷めないようにヒーターがあって保温しているのだろう。
 調理というより「組み立て」
 食材の各パーツを、下地になるバンズの上に積み重ねてソースをかけ、上のバンズを載せて完成。パテを焼くところから始めたら60秒では無理なわけで、客足を想定して焼いたパテを効率よく保温器に入れておくのがポイントなのだろう。

 組み立て作業をする人にも、手際のいい人とそうでない人がいる。
 手際の悪い人は、刻んだレタスをポロポロとこぼすから、最初に載せた量より減った状態で小箱に詰められる。そういうのを見ていると、損をしたような気分になる。
 フライドポテトは、あらかじめ揚げてあるからストックしてあるものを詰めるだけ。ストック分が減ってくると次のロットを揚げるが、タイマーをセットしているとはいえ、油から出すタイミングは人の手作業になる。
 タイマーが「ピピピピ」と鳴っているのに、接客などで手が離せないでいると、ポテトを油から外に出せない。その分、揚げすぎになってしまう。
 ときどきそういうポテトに当たることがあって、揚げすぎで硬くなったポテトを食べるはめになる。原因を知っているだけに、しょうがないか、と思ってしまう。

 60秒とスピードを競うのもいいのだが、「味」の方も忘れないで欲しい。
 マクドナルドに高級な味を求めているのではなく、ばらつきの少ない味にしてほしいということだ。
 焼きすぎのパテだったり、揚げすぎのポテトだったり、塩を振り忘れたポテトだったりというのはよくある。マニュアルで徹底されているはずのマクドナルドではあるが、ピーク時のあの混雑の中では質よりもスピードが優先されるのも無理はない。
 少ない人数で接客から調理までしているので、あそこで働く人の負担は大きいように思う。

 マクドナルドはアルバイト店員が多いところでもある。
 アルバイトと正社員の制服は異なり、明らかな線引きがある。
 5~6年前だが、近所のマクドナルドの店員で気になる女の子がいた。
 かわいい娘だとか、一目惚れしたという話ではない(笑)。
 その娘は新しく入ったアルバイト店員だったが、他の店員と明らかに違っていた。
 違っていたのは、その仕事ぶりだ。
 接客の仕方、仕事の手際などが、際立って上手かったのだ。おそらくアルバイト経験はほかにもあったのだろうが、新人とは思えないくらいの手際の良さだった。
 「仕事のできる女の子」だった。
 頭の回転が速く、てきぱきとした動きで無駄がない。言葉遣いもしっかりしていて、まだ若いのにしっかりしていた。
 彼女の仕事ぶりは、見ているだけで面白かった。
 マクドナルドに行くことの目的に、彼女の成長ぶりを見るというのも加わっていた。

 1年くらいが過ぎた頃だっただろうか。
 久しぶりに店に行くと、例の彼女の制服が変わっていた。正社員の制服だ。
 どうやら、アルバイトから昇格したらしい。それにともなって、現場を仕切る立場にもなったようで、彼女がいるときは彼女がリーダーらしかった。
 リーダーとしての資質も備わっていたようで、彼女のテンションとスピードで、他の店員の動きも2割増しくらいで効率的になった気がした。
 彼女の能力に目に留めたのは、私だけではなかったということだ。

 それから数年して、彼女は近所のマクドナルドからいなくなった。配置転換になったらしい。
 ふと、彼女は今、どうしているだろうか?……と思った。
 さらに昇格して、もっと重要な立場で仕事をしているのかもしれない。
 60秒の裏側には、そんなサクセスストーリーもあるのだと思う。

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